国によってこんなに違う! 世界の歯科事情から見えてくること
皆様、こんにちは!院長の大内です。
「歯医者は痛くなったら行くところ」という意識を持っている方はまだまだ多いと思いますが、世界を見渡すとその常識はまったく通じない国がたくさんあります。今日は、国によってこれほど違う歯への意識と歯科事情についてお話しします。
■ 歯医者に行く「目的」がまるで違う
ライオン株式会社が2014年に実施した日本・アメリカ・スウェーデンの3カ国調査で、興味深い結果が出ています。
歯科医院に行く目的として、日本では「虫歯の治療」と答えた人が66.6%で最多でした。ところがアメリカとスウェーデンでは、最も多かった答えが「歯の健康診断」(アメリカ64.5%、スウェーデン70.4%)だったのです。
日本人は「悪くなってから行く」、欧米人は「悪くなる前に行く」。この意識の違いが、長年の歯の健康状態の差を生み出しています。
■ 定期受診率の差が、80歳の歯の本数に表れる
定期的に歯科メンテナンスを受けている成人の割合を比べると、スウェーデンが80〜90%、アメリカが60〜70%に対して、日本は20〜30%にとどまっています。
その結果が、80歳時点での残存歯数に如実に表れています。
スウェーデン:約21本(2013年、日本スウェーデン歯科学会)
アメリカ:約19.5本(75歳以上、2011〜2016年、米国国立歯科・頭蓋顔面研究所)
日本:約18.1本(75〜79歳、2022年、厚生労働省歯科疾患実態調査)
日本も近年は改善が進んでいますが、定期受診率の高い国ほど高齢になっても歯が多く残っているという傾向は明らかです。
■ スウェーデンが予防先進国になった理由
スウェーデンは今から30年以上前まで、日本よりも子どもの虫歯が多い国でした。そこから国を挙げて予防に取り組んだ結果、現在では成人の80〜90%が定期受診し、子どもは20歳になるまで歯科治療が無料という制度も整っています。わずか数十年でここまで変わることができた。「予防次第で変わる」ということを証明してくれている国です。
■ アメリカ人が定期検診に通う理由は「経済的合理性」もある
アメリカの定期受診率が高い背景には、日本とはまったく異なる医療制度があります。
アメリカには日本のような国民皆保険制度がありません。歯科治療は基本的に全額自費で、詰め物が1本取れただけで10〜12万円、根管治療では30万円を超えることも珍しくありません。
そこでアメリカでは民間の歯科保険(Dental Insurance)に加入するのが一般的ですが、多くのプランで「年2回の定期検診・クリーニングは無料または低負担」という設計になっています。つまり保険を有効活用するためにも定期的に通う方が得、という仕組みになっているのです。
「高い治療費を払いたくないから、悪くなる前に通う」という経済的な動機が、定期受診率の高さを下支えしています。歯科医院の予約が3ヶ月待ちになるほど需要が高い地域もあるというのも、そうした事情があるからです。
健康のためだけでなく、お金の節約という非常に現実的な理由が、アメリカ人を定期検診に向かわせているというわけです。
■ フィンランドはキシリトールが国民食
少し変わった観点から、フィンランドの話もご紹介します。
フィンランドでは国民の94%がキシリトール摂取の経験を持ち、子どもがいる家庭の67%が日常的にキシリトールを摂取しています(ロッテ調べ)。幼児教育施設や小学校でも摂取が推奨されており、一部の自治体ではその費用を自治体が負担しているほどです。
日本でもキシリトールガムは売られていますが、フィンランドでは「食後にキシリトール」が日常の習慣として文化に溶け込んでいます。
■ 日本は「意識」が変わり始めている
かつて8020運動が始まった1989年当時、日本の定期受診率はわずか約6%でした。そこから少しずつ意識が変わり、現在は20〜30%まで上がってきています。
80歳で20本以上の歯を持つ方の割合も、1993年の10.9%から2022年には51.6%へと大きく改善しました(厚生労働省歯科疾患実態調査)。取り組み次第で、確実に変わることができるということです。
世界の事情を見ると、日本が目指すべき方向はとても明確です。「悪くなってから行く歯医者」から「健康を維持するために通う歯医者」へ。川口かぼちゃ歯科はその変化の一端を、川口の地域から担っていきたいと思っています。
それでは、次回の更新もお楽しみに。
