「口腔機能発達不全症」知っていますか? 歯並びは歯だけの問題じゃない
皆様、こんにちは!院長の大内です。
「うちの子の歯並び、なんかガタガタしてきた気がする」
永久歯に生え変わる時期のお子さんを持つ親御さんから、こうした相談を受けることがとても増えています。実はこれ、今や珍しいことではありません。
厚生労働省の歯科疾患実態調査では、12〜15歳のおよそ4割以上に「叢生(そうせい)」いわゆるデコボコや八重歯が見られると報告されています。小・中学生全体で見ると、なんと50〜70%のお子さんに何らかの歯並びの乱れがあると言われています。
「子どもの歯並びが悪いのは珍しいことではなく、むしろ多数派」という状況になっているのです。
■ 歯並びが悪くなる原因は、遺伝よりも「生活習慣」
「うちの家系は歯並びが悪いから、仕方ない」とおっしゃる親御さんも多いのですが、現代の子どもの歯並びが悪くなっている原因のおよそ8〜9割は、遺伝ではなく後天的な生活習慣にあると言われています。
主な原因は2つです。
一つは「顎の未発達」です。現代の食事は柔らかいものが多く、噛む回数が大幅に減りました。噛む刺激が不足すると、顎の骨が十分に育ちません。一方で栄養状態が改善された現代では、永久歯そのものは昔より大きくなっているというデータもあります。「顎は小さく、歯は大きく」というアンバランスが、歯並びの乱れを生み出しています。
もう一つは「お口の癖」です。口呼吸(いつも口が開いている)、指しゃぶり、舌を前歯に押し当てる癖(舌癖)、片側だけで噛む癖など、日常のちょっとした習慣が、長い時間をかけて歯や顎に力を加え続け、歯並びを変えてしまいます。
■ 特に多い歯並びの乱れ
日本の子どもに特に多い歯並びの問題は以下の3つです。
叢生(そうせい・乱ぐい歯・八重歯)
歯が並ぶスペースが足りず、デコボコに生えている状態です。不正咬合の中で圧倒的に多く、約4割を占めます。
上顎前突(出っ歯)
上の前歯や顎が前に出ている状態です。口呼吸や指しゃぶりが長く続いた場合に起きやすい傾向があります。
反対咬合(受け口)
下の歯が上の歯よりも前に出ている状態です。成長とともに悪化しやすく、早期の対処が特に重要です。
■ 「口腔機能発達不全症」という考え方
歯並びの問題を「歯だけの問題」として捉えるのが旧来の考え方でしたが、現在は「お口の機能の発達の問題」として捉え直すことが求められています。
2018年に「口腔機能発達不全症」という病名が設けられ、保険診療の枠組みの中で歯科が関わることが認められました。つまり国が「子どものお口の機能の発達に、歯科が介入すべき」と認めた形です。
噛む・飲み込む・鼻で呼吸する・正しく発音するといった機能が年齢に応じて育っていないお子さんに対して、機能の改善からアプローチすることで、結果的に歯並びの改善にもつながっていくという考え方です。
歯を無理やり動かすワイヤーによる矯正の前に、まずお口の機能という「根本原因」に働きかけることが大切なのです。
■ 気づくべきサイン
以下のような様子が見られたら、お口の機能の発達に課題がある可能性があります。
・口がいつもポカンと開いている
・食べるのがとても早い、または極端に遅い
・くちゃくちゃと音を立てて食べる
・言葉の発音が気になる
・舌をよく前歯の裏に押し当てている
・いびきをかく、または口を開けて寝ている
・乳歯に隙間がない
■ 相談するベストタイミング
前歯が永久歯に生え変わる7〜8歳ごろまでに一度ご相談いただくのがおすすめです。顎の骨がまだ柔らかく成長途上にあるこの時期は、機能へのアプローチが最も効果を発揮しやすいタイミングです。
成長が止まってから「治したい」と思っても、同じことをするのに何倍もの時間と労力が必要になります。「少し気になる」程度でもOKです。早めにご相談いただくことが、お子さんへの一番のプレゼントになります。
川口かぼちゃ歯科では、歯並びだけでなく、舌の動き・唇を閉じる力・噛み方・呼吸の仕方など、お口全体の機能を確認しながら、今できることをご提案しています。
「うちの子、大丈夫かな?」と思ったら、ぜひお気軽にご相談ください。
それでは、次回の更新もお楽しみに。
