歯周病菌が脳に届く 認知症とお口の怖い関係
皆様、こんにちは!院長の大内です。
「歯周病が認知症に関係している」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。「本当にそんなことがあるの?」と思われる方もいるでしょう。
今日は、この少し怖い話を、できるだけ分かりやすくお伝えします。
■ 歯周病菌は血管を通じて全身に広がる
このブログで繰り返しお話ししてきましたが、歯周病は「お口だけの病気」ではありません。歯ぐきに炎症が起きると、出血部位から歯周病菌が血管の中に入り込み、全身のあちこちに運ばれていきます。
糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞との関連はすでに広く知られていますが、近年「認知症」との関連を示す研究が次々と報告されるようになってきました。
■ 歯周病がアルツハイマー病のリスクを1.7倍高める
台湾で50歳以上の歯周病患者9291人と健康な18672人を10年間追跡した研究では、慢性歯周炎がある人はない人と比べてアルツハイマー病の発症リスクが1.7倍高くなったと報告されています。
また、アルツハイマー病で亡くなった患者の脳組織を調べると、代表的な歯周病菌である「P.g.菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)」が出す毒素が高頻度に検出されることも分かっています。正常な方の脳組織からはほとんど検出されない物質です。
■ 歯周病菌がどうやって脳に悪影響を与えるのか
「口の中の菌が脳に届くなんて、どういうこと?」と思われますよね。
本来、脳には「血液脳関門」という強力なバリアがあり、異物が入り込みにくい構造になっています。しかし年齢を重ねると細胞が老化し、このバリアに隙間ができ始めます。すると、歯周病菌やその毒素が脳に侵入しやすくなるのです。
脳に異物が入り込むと、脳内の免疫細胞(ミクログリア)がそれを排除しようと活発に働き始めます。また「アミロイドβ」というタンパク質も毒素を封じ込めようとして増えていきます。これらの反応が続くことで脳の炎症が起き、神経細胞が死んでいく……これが認知症の悪化につながると考えられています。
実際に、歯周病を発症させたマウスでは、そうでないマウスと比べて脳内のアミロイドβの沈着が増加し、認知機能の障害が明らかに悪化したという研究結果もあります。
■ 歯周病菌の毒素を抑えると認知症の進行が遅くなった
さらに踏み込んだ研究もあります。米国と欧州の軽度〜中等度のアルツハイマー型認知症患者643人を対象に、P.g.菌が出す毒素を中和する薬を投与したところ、P.g.菌感染が見られていた患者に絞った解析で、認知機能の低下スピードが30〜50%抑えられたという結果が出ています。
歯周病菌の毒素を減らすことが、認知症の進行を遅らせる可能性があるという、非常に注目すべき結果です。
■ アミロイドβの蓄積は40代後半から始まっている
ここが、今日一番お伝えしたいことです。
アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβの蓄積は、症状が出るずっと前、40代後半からすでに始まっていると言われています。
私自身、40歳を超えてこのデータを改めて見た時、決して遠い話ではないと感じました。「認知症は高齢者の病気」と思っていても、その下準備は中年期から静かに進んでいるのです。
だからこそ、今この時期から歯周病をしっかりコントロールすることが、将来の認知症リスクを下げることにつながる可能性があります。
■ 「歯を守ること」は「脳を守ること」かもしれない
歯周病は痛みがなく静かに進行するため、「大丈夫だろう」と放置されがちです。でもその間も、歯周病菌は血管を通じて全身をめぐり、脳にまで影響を与えている可能性があります。
定期的なクリーニングで歯周病菌をコントロールすること、毎日のプラークケアを丁寧に行うこと。これは歯を守るためだけでなく、脳と全身を守るための行動です。
「最近、定期検診に行っていないな」と思った方は、ぜひ今日を機に川口かぼちゃ歯科へご連絡ください。お口の中の状態を一緒に確認していきましょう。
それでは、次回の更新もお楽しみに。
