「食いしばっていない」と思っているあなたへ TCH(歯牙接触癖)という静かな習慣
皆様、こんにちは!院長の大内です。
「食いしばり、噛みしめ」と聞くと、歯をぐっと強く噛み締めているイメージを持つ方が多いと思います。「自分はそんなことしていない」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも実は、強い力でなくても、歯同士が「軽く触れているだけ」で、顎や歯には大きな負担がかかっています。これが「TCH(Tooth Contacting Habit)」、日本語では「歯牙接触癖(しがせっしょくへき)」と呼ばれる習慣です。
以前のブログでも少し触れましたが、今日はより詳しくお話しします。
■ 本来、歯は1日10分程度しか接触しない
驚かれるかもしれませんが、食事や会話など、日常生活で上下の歯が実際に接触している時間は、1日のうちわずか10〜12分程度と言われています。
それ以外の時間、口を閉じていても唇を閉じていても、上下の歯の間には2〜3ミリのすき間があるのが正常な状態です。顎は顎関節でぶら下がっているだけなので、筋肉に力が入っていなければ自然と歯は離れているものなのです。
■ TCHは「軽い接触」だから気づきにくい
TCHとは、この「すき間」がない状態、つまり上下の歯が常に軽く触れ合っている状態が習慣化していることです。
歯ぎしりや強い噛み締めのような激しい力ではないため、痛みもなく、自分では気づかないまま2〜3時間続いてしまうこともあります。でも、軽い力であっても顎周りの筋肉はずっと収縮した状態が続いており、毛細血管が押しつぶされ、筋肉への血流が妨げられ続けています。
その結果、顎の痛みや疲れ、顎関節症、知覚過敏、歯周病の悪化、肩こりや頭痛といった様々な不調につながることがあります。実際、顎関節症患者の約6割にTCHの傾向があるという報告もあります。
■ 自分がTCHかどうか、チェックしてみよう
「キッチンタイマー法」がおすすめです。10分おきにタイマーをセットして、鳴った瞬間に上下の歯が触れているかどうかを確認してみてください。10回中10回触れていたらTCHの可能性は高く、1〜2回程度であれば傾向は低いと考えられます。
■ なぜTCHになるの?
スマートフォンやパソコンを使う時の「前かがみの姿勢」が大きな原因の一つです。下を向いた姿勢では顎が閉じる方向に自然と力がかかります。またストレスや緊張によって交感神経が優位になると、無意識に顎に力が入りやすくなります。
集中して作業しているとき、ふと気づくと歯をぐっと噛んでいた……という経験はありませんか?それがまさにTCHのサインです。
■ 改善のコツは「鼻の下を伸ばす」
TCHの改善に、ちょっとユニークな方法をご紹介します。
試しに今、奥歯を噛みしめたまま「鼻の下を軽く伸ばそう」としてみてください。噛んだまま鼻の下は伸ばせませんよね。上下の歯が自然と離れるはずです。
これを利用した改善法があります。集中していて気づいたら歯が接触していた、というとき、「鼻の下を軽く伸ばそう」と意識するだけで、自然に上下の歯にすき間が生まれます。特に何かを意識して「離そう」とするより、この動作の方が体に覚えさせやすいのです。
その他の方法として、「気づいたら深呼吸をする」のも効果的です。深く息を吸い込むと自然と体が伸び、歯と歯の間にすき間が生まれます。また、「歯を離して」「リラックス」と書いた付箋をパソコンの画面や冷蔵庫など目につく場所に貼って、見るたびに意識する方法もあります。
■ まずは「知ること」が一番の改善策
TCHに限らず、身体に良くない習慣のほとんどは「気づくこと」から改善が始まります。
「上下の歯はすき間があるのが正常」「歯が触れ合っているのは1日10分だけが理想」。この事実を知っているだけで、日常の中で自然と意識が変わってきます。
「最近、顎が疲れやすい」「頭痛や肩こりが続く」「歯がしみる感じがある」という方は、TCHが関係しているかもしれません。ぜひ「川口かぼちゃ歯科」へご相談ください。噛み合わせのチェックや、日常生活でのアドバイスを一緒に考えていきます。
それでは、次回の更新もお楽しみに。
