「フッ素を塗りに行く」から「お口の成長を育てに行く」へ 小児歯科の新しい時代
皆様、こんにちは!院長の大内です。
前回は「虫歯治療で終わりにしないでほしい」というお話をしましたが、今日は子どもの定期的な歯科受診について、時代の変化も交えながらお話しします。
■ 子どもの虫歯は減った。でも、別の問題が増えている
かつての小児歯科といえば、「虫歯の治療」と「フッ素を塗りに行く場所」というイメージが強くありました。実際、昔は子どもの虫歯が非常に多く、歯科医院はその対応に追われていました。
しかし近年、子どもの虫歯は確実に減っています。これはフッ素の普及や保護者の意識の高まりによるものであり、素晴らしいことです。
ところが一方で、歯並びが乱れているお子さんが増えています。そしてこれは単なる見た目の問題ではないのです。
顎の発育が不十分だったり、舌や唇・頬の筋肉が正しく使えていなかったり、口呼吸が習慣になっていたり。歯並びの乱れの背景には、お口全体の「機能の発達の問題」があることがほとんどです。
このブログでも繰り返しお話ししてきた「口腔機能発達不全症」という病名が設けられ、今や国としても「小児の機能発達に歯科が積極的に関わるべき」という方向に動いています。
これからの小児歯科は、「フッ素を塗りに行く場所」から「お口の正常な発達を育てに行く場所」へと変わっているのです。
■ 子どもの口腔育成とは
当院では、お子さんの健やかなお口の成長を支えるため、3つの柱でアプローチしています。
1. お口の健康(虫歯予防とご家族の予防)
生まれたての赤ちゃんのお口の中に、虫歯菌はいません。虫歯菌は、家族とのスキンシップ(キスや食べ物の口移しなど)を通じてお子さんのお口に入ってきます。感染しやすい時期は生後19ヶ月〜31ヶ月と言われており、この時期を上手に乗り越えることで、3歳以降は虫歯菌に感染しにくい口腔環境が整います。
だからこそ、お子さんだけでなくご家族のお口の健康が重要です。以前の記事でもお話ししましたが、「子どものお口は親に似る」というのはまさにこのことです。当院では、お子さんと一緒に親御さんも診ることを積極的にお勧めしています。
2. 食育(健やかな成長のために)
歯が生える状態に合わせた食事の取り方、唾液をたくさん出す食べ方、顎の成長を促す食材の選び方、虫歯になりにくいおやつの与え方……食育とは、「何を食べるか」だけでなく「どう食べるか」まで含めた食事の教育です。
毎日の食卓が、お子さんのお口と体の土台を作っています。
3. 予防矯正(歯並びを育てる)
歯並びが乱れる原因の多くは、遺伝ではなく「口まわりの筋肉の使い方のクセ」にあります。舌が常に歯に触れている「舌癖」、口で呼吸する「口呼吸」、正しくない飲み込み方……これらの癖が継続的に力をかけ続けることで、歯並びが少しずつ崩れていきます。
逆に言えば、これらの癖を早期に改善することで、歯並びが自然と整ってくることがあります。これを「予防矯正」と呼びます。ワイヤーで歯を無理やり動かすのではなく、筋肉の使い方を正すことで、体が本来持っている正しい成長の力を引き出すアプローチです。
■ お口の正常な発達が整うと、こんなに変わる
「歯並びが良くなる」だけではありません。口腔機能が正しく発達することで、正しい鼻呼吸・しっかり噛める・正しい姿勢・免疫機能の向上・アレルギーの改善・いびきや歯ぎしりの改善など、全身にまたがる幅広い変化が期待できます。
お口の健康は、全身の健康の入り口です。小さい頃から正しい機能を育てることが、将来の健康な体づくりにつながっているのです。
■ 「うちの子、大丈夫かな?」と思ったら早めに
子どものお口の機能の発達には「旬の時期」があります。成長期を過ぎてからでは、同じことをするのに何倍もの時間と努力が必要になります。
「口がよく開いている」「食べるのが遅い」「発音が気になる」「乳歯の隙間がない」……そんな小さなサインを見逃さないでください。
「川口かぼちゃ歯科」では、虫歯チェックだけでなく、お口の機能の発達状態を丁寧に確認しています。まずは気軽にご相談ください。お子さんの将来の笑顔のために、一緒に考えていきましょう。
それでは、次回の更新もお楽しみに。
