「隔壁」って何? ラバーダムを使うために欠かせない、知られざる準備のお話
皆様、こんにちは!院長の大内です。
これまでラバーダムについて何度かお話ししてきましたが、今日はまた少し違う角度から、ラバーダムを使うために欠かせない「隔壁(かくへき)」という処置についてご紹介します。
「隔壁」という言葉、日常生活ではあまり聞き慣れないかもしれませんね。二つのものを隔てる壁、つまり「仕切り」のことです。歯科治療の現場では、この隔壁がラバーダムを成立させるための大切な土台となっています。
■ ラバーダムをかけるには「土台」が必要
根管治療(歯の根っこの治療)では、治療中に唾液が根管の中に入り込まないよう、ラバーダムというゴム製のシートで歯を隔離します。
しかしここで一つ問題があります。ラバーダムのシートをかけるためには、ある程度の「歯の高さ」が必要なのです。
根管治療が必要な歯の多くは、深い虫歯や歯の破折によって歯が大きく欠けていたり、ほとんど根っこだけになってしまっていたりすることがあります。そのような状態では、ラバーダムのシートを引っ掛けるクランプという器具が歯に固定できず、そもそもラバーダムをかけることができません。
そこで登場するのが「隔壁」です。
■ 隔壁とは何をするもの?
隔壁とは、大きく欠損した歯に対して、ラバーダムをかけられるよう壁を作る処置のことです。コンポジットレジンなどの材料を使って、歯のまわりに仮の壁を築くイメージです。
この「仮の壁」があることで、どんなに歯が壊れていても、ラバーダムをしっかりと固定できるようになります。
つまり、隔壁はラバーダムを行うための「前準備」であり、これがあってこそ、根管治療を清潔な環境で進めることができるのです。
また、隔壁にはもう一つ重要な役割があります。それは、根管内を消毒する薬剤が歯ぐきや口腔内に漏れ出すのを防ぐことです。根管治療で使用する薬剤には強力なものもあるため、ラバーダムと隔壁の組み合わせが患者様の安全を守る「二重のバリア」になっています。
■ 全国的にも、ラバーダムを使う歯科医師は少数派
ここで少し驚くデータをご紹介します。
日本の歯科医師全体でラバーダムを使用している割合は、わずか約5%と言われています。歯内療法(根管治療)を専門とする学会の会員でも、約25%にとどまるというデータがあります。
ラバーダムは保険診療の対象外であるため、使用しても診療報酬として請求することができません。つまり、使えば使うほど医院の負担になる仕組みになっているのです。だからこそ、多くの医院では使わない選択をしています。
■ それでも、川口かぼちゃ歯科は使い続ける
当院では、ラバーダムが保険適用外であっても、患者様に追加の費用をいただくことなく、可能な限りすべての根管治療でラバーダムを実施しています。
そして、歯が大きく欠損していてラバーダムがかけられない状態の歯に対しても、隔壁の材料にはコンポジットレジンを使用しています。この隔壁についても、追加料金はいただいていません。
「なぜそこまでするの?」と思われるかもしれません。
答えは一つです。根管治療を成功させ、再発させないためです。
どれだけ丁寧に根管をお掃除しても、途中で唾液が入り込んでしまえば、また細菌が増殖してしまいます。隔壁でしっかりと土台を作り、ラバーダムで完全に隔離した上で治療を行う。この一手間が、長い目で見たときの「歯を守る結果」につながると信じているからです。
■ 見えない部分にこそ、こだわりがある
外からは見えない処置だからこそ、私たちは妥協したくありません。
根管治療を控えている方、「また同じ歯が痛くなってきた」とお悩みの方、ぜひ一度「川口かぼちゃ歯科」へご相談ください。隔壁もラバーダムも含めて、根っこの治療を最善の形で行う準備が整っています。
それでは、次回の更新もお楽しみに。
