実は世界最先端だった! 日本の入れ歯の歴史、知っていますか?
皆様、こんにちは!院長の大内です。
これまで入れ歯の痛みやお手入れについてお話ししてきましたが、今日はちょっと趣向を変えて「入れ歯の歴史」についてご紹介します。
実は日本の入れ歯の技術、ヨーロッパより約200年も進んでいたってご存知でしたか?
■ 現存する最古の入れ歯は日本にある
日本最古の入れ歯は、16世紀半ば、1538年のものと言われています。和歌山市の願成寺を開山した「仏姫」と呼ばれる女性のために作られた木製の総入れ歯で、なんとX線と赤外線で分析したところ、お歯黒まで施されていたことが判明しています。当時すでに見た目にまでこだわった入れ歯が存在していたとは、驚くばかりです。
■ 徳川家康も入れ歯ユーザーだった
徳川家康が入れ歯を使っていたことは、歴史書にも記載されているほどよく知られています。
当時の入れ歯は、木ロウで型を取り、ツゲの木を削って作られていました。ツゲの木は非常に緻密で硬く、抗菌作用もあって汚れにくいという、入れ歯の材料として理想的な性質を持っていました。前歯には本物の歯を絹糸で台に結びつけ、奥歯には金属の釘を打ち込んでしっかり噛めるよう工夫されていたといいます。
現存する当時の入れ歯を見ると、現代の入れ歯と驚くほどよく似た構造をしていることに思わず感嘆してしまいます。
■ 型を取って、仮合わせをして……江戸時代から変わらない流れ
江戸時代の国学者・本居宣長も、入れ歯師に自宅まで来てもらい、あごの型を採って持ち帰り、後日仮合わせをして完成させてもらった、という記録を手紙に残しています。
型を取って、試適(仮合わせ)して、調整して完成させる——この流れは、現代の入れ歯治療とほとんど変わりません。数百年前の職人たちが、すでにこれだけ洗練された技術を持っていたことに、改めて驚かされます。
この「入れ歯師」という職業は、もともと仏像を彫る仏師が片手間に請け負っていたものが始まりで、江戸時代には専門職として定着していきました。
■ 同じ時代、ヨーロッパでは?
では、同じ江戸時代初期(17世紀)のヨーロッパはどうだったのでしょうか。
実は当時のヨーロッパには、入れ歯に相当するものがまだありませんでした。肉食中心で日本人以上にしっかり噛む必要がある貴族階級のために考案されたのは、なんとペンチのような形をした「肉粉砕器」。歯がない分、肉をつぶして食べていたという記録が残っています。
ヨーロッパで現代の入れ歯に近いものが登場するのは19世紀に入ってからのことで、日本とは実に約200年の差がありました。
■ あなたのお宅にも眠っているかも?
木製の入れ歯は日本各地に今も残っており、香川県で発見された江戸時代末期のものには、噛んだ跡の擦り減りや歯石まで付着していたことが確認されています。歯石がついた木製の入れ歯は非常に珍しく、学術論文でも紹介されたほどです。
ご先祖様の形見として、仏壇の引き出しの中などにひっそりと眠っている入れ歯があるかもしれません。
■ 昔から変わらない「噛める幸せ」
材料や技術は大きく進化しましたが、「しっかり噛んで食事を楽しみたい」という人々の願いは、数百年前から変わっていません。
現代の入れ歯技術は、そんな長い歴史の積み重ねの上に成り立っています。「川口かぼちゃ歯科」でも、その想いを大切に、お一人おひとりに合った入れ歯をご提案しています。入れ歯のことでお困りのことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね!
それでは、次回の更新もお楽しみに。
